季節外れの転校生

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「静かにしなさぁーーい!!」 ざわついた教室に怒鳴り声が響いた。 その一言で静まり返る。 どうやら委員長を怒らせてしまったみたい。 「決める気あるの?文化祭の出し物決まってないの、このクラスだけなのよ!!」 委員長のイライラは最高潮。 そもそもなぜ委員長というのかと言うと、眼鏡を掛け、髪型はおさげ。 それに加えて入学以来ずっと委員長をやっていたので、この呼び名が定着したらしい。 (どうでもいいことだけどな) 自己紹介をしとくと、俺は榊 雄也(サカキ ユウヤ) 高校二年だ。 それにしても出し物が決まる気配はない。 本日最後の授業という事もあって決まらなければ、残される可能性が高い。 (それは何としても阻止しないと) 窓からくる風はひんやりとして、心地よい。 けれど、10月中旬だけあって肌寒かった。 (長袖のカッターシャツでも、そろそろキツイかも) さっきからどうでもいい事ばかり考えていた。 教室の空気は外の気温と同じように冷たくなっていく。 周りを見回すと既にダウンしている奴も居た。 見つかったら終わりだな。 こんな感じで教室を見回していた。 すると、隣の女子と目が合う。 「榊君いいアイデア浮かんだ?」 (なぜに上目遣い!?) 「猫かぶるの止めろよ、美沙」 「つまらないわね。こうすればいい考えが浮かぶかなって思ったのに」 先程とは違い、クールな感じにだった。 そして、やれやれといった手振りもされる。 (俺を挑発してるのか?) イライラしたが何とか抑えた。 篠原 美沙(シノハラ ミサ) 毎回こういった行事で暴れる…………奇抜な事をやっている。 言わば、参謀みたいなポジション。 俺は毎回の如く巻き込まれている。 ほんといい迷惑だ。 「考えるのは美沙の担当だろうが」 「私ばかり考えても仕方ないじゃない。たまには様子見るのもありでしょ」 さらっと言ってのけた。 (今度は何を企んでんだよ…………全く) 「時間が迫ってきたら案出すから安心しなさい」 そう言って美沙は、時計を見た。 俺もつられる。 終了まで後残り15分だった。 (誰も案出さねえな) どこか確信がある。 「それと美沙の“安心”は安心できない」 長年の勘だ。 と言っても2年ぐらいの付き合いだけど。
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