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「真由香もそう言ってるんだから、決定ね」
美沙がとどめを刺す。
真由香はどちらかと言うと天然系なので、容赦ないというか…………
本人が自覚無しではっきり言ってしまう。
さっきの翔太に対してのように。
「ええっ、私基準なの!?」
こんな感じだ。
それをいつも美沙は利用している。
(俺たちにとってはいい迷惑だな)
気づくと、教室はまたざわつき始めていた。
どうやら原因は俺たちみたいだ。
「ああ、もう、いい加減にしなさーーい!!」
再び委員長が叫んだ。
今度も一瞬で静かになる。
(あらら…………マジでやばいな…………)
「もう篠原さん!!何でもいいから案出して!!」
残り時間は10分。
「そーね…………まあ翔太の案使ってあげるわ。かわいそうだし。お化け屋敷なんてどうかしら?」
美沙は参謀の時の顔になっている。
何か企んでいる妖艶の笑み。
「お化け屋敷なんて定番すぎるんじゃないか?」
意外過ぎるので、聞いてみた。
最も美沙が企んでいるのは分かるが一応。
「バカね、雄也。私がやるからには、他に負けない物にするわよ」
聞くまでもなかったな。
「じゃあ、お化け屋敷でいいですか?」
委員長は疲れ果てている様子。
こめかみを押さえ、聞いていた。
「ないようなら、お化け屋敷にします。篠原さん時間ないので明日までに役割分担お願いできる?」
「任せて。それと、私がやるからには最高の物にするわ」
(さて、俺は何やらされるやら)
もはや不安しかない。
丁度いいところでチャイムが鳴った。
何とかどころかぎりぎりで決まった。
(はああ)
心の中でため息をつく。
俺は今、今年の文化祭が波乱の展開になることが予想できるからだ。
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