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「りお!!」
―――奏さん?
わたしの手を押さえつけていた男の体が奏さんの蹴り出した足で軽々とぶっ飛んだ。
「りおさん、大丈夫ですか?」
わたしをさっと立たせて口の中からハンカチを投げ捨て背中に庇ったのは榊さんだった。
「だ、大丈夫…」
ゴホッゴホッ
軽々とぶっ飛んだ男の脇にふらふらと立ち上がるくちびるが切れた男が。
「ちっ、」
舌打ちをした。
「おまえら、大神組若頭の女をこんな目に合わせて明日から夜道は歩けねぇぞ」
「はあ?」
舌打ちをした男の顔が怪訝な顔をした。
「このガキがか?」
手にしてたナイフがキラリと光る。
わたしをナイフの先で指差した。
「りお」
「…奏さん、助けてくれてありがとう」
奏さんは小さくため息をついた。
「いい、何もないならそれで」
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