~ふたりの花火~

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奏さんの背中が大きく上下してる。 榊さんの背中も仁さんの背中も。 どんなにか走り回って探してくれたんだってわかる。 「ご、ごめんなさい。はぐれちゃって」 「いい、無事ならそれでいい」 「若、りおさんが怪我してます」 榊さんが振り向いた時に浴衣の裾から覗いた膝から、転んだ時の擦りむいた跡が見えたみたい。 「これは、あの、」 「骨折もまだ治ってないのにな」 仁さんは奏さんを挑発するようなことを言った。 「どうしますか?若」 榊さんも途端に柔らかい口調からドスの効いた低い声になる。 「腕一本では許せねえな」 「顔にも刻んどきますか?」 「そうだな」 「だ、そうだ」 仁さんも3人を睨む。 「何をわかんねぇこと言ってんだバカ」 「バカ?」 奏さんが男の吐き出した台詞にピクリと反応した。 「りおを傷つけて…その上にバカ?」 .
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