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その当の本人はといえば、大丈夫よありがとうとか答えるババアにそれこそ天使とか言われそうな無垢な笑顔で答え、あまつさえお礼とか言って飴玉を頂戴している始末。
お前誰の子だよ。
ぶっちゃけ、あのハゲが嘘ついてる可能性大。
神だか何だか知らねえが、敵対関係にある魔王のガキかっぱらうとか、それこそ戦争もんじゃねえか。
いくら脳みそイカれてても、そんぐらい判断できるだろ、じゃねえと天界もおわりだな、とか考えていると。
「ルシフェル、見て見て。」
キラキラと輝く瞳で見つめてくるガキ一匹。
両手ですくうように持たれた飴の数は、先程ちらりと見た時とはちがい、今にも淵からこぼれそうなほどの数になっている。
見れば先程のババアを筆頭に、可愛いもの大好きの主婦連中が餌づけでポイントを稼ごうとしたらしい。
だがその主婦連中の顔も、今やだいぶ引きつったものになっている。
まあ、それも当り前だ。
なんせ、この俺が、いるのだから。
「なあ、ルシフェルってばー。」
何も反応が無いからか、やや拗ねたように呼び掛けるガキだったが、そんなものは関係ない。
「ふん、行くぞ。」
オレは一言そう言って、周りから寄せられる好奇の目線の中をずんずん進んで行く。
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