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途中、例の主婦軍団をすり抜けると、ヒソヒソという囁きが聞こえたがそれもガン無視。
ガキはガキで、相変わらず愛想を振りまいていたが、同じく主婦連中をすり抜ける途中、大丈夫?とか、あの男にいじめられてない?とか聞かれていたが、全て一言。
「だいじょうぶ、ルシフェル優しいから!」
と片付けていく。
正直否定したいところではあるが、そんなことをするとあの主婦連中も黙ってはいないだろう。
そうなっては面倒くさい。
そんなわけで、オレは無視一貫、ガキがついてきているのは気配で分かっているため気にする必要も、いやそもそも気にしていたわけでもないし、とにかく歩く、歩く、歩く。
ようやく歩調を緩めたのは街外れの公道、オレの家の有視界距離に入った時だった。
「ルシフェルーーーー!!!」
見れば、いつの間にやらガキを大きく引き離していたようで、ただでさえちんまいその体がもう点に近いほどに小さい。
と。
ずてっ、と、走っていたガキが転んだ。
「…………はあ。」
悪魔は悪魔、でもガキはガキだ。
案の定、ゆっくりと身を起こしたガキは、今にも泣きそうなツラでしゃくりあげている。
すぐに泣きださないだけまだマシだが、こうオレの家の近くで騒がれるとまた余計な詮索をされてしまう、ので。
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