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「るしふぇる~~~。」
既に泣き始めたガキの元に転移し、「いたいっ!」問答無用でチョップをかます。
それから、再びガキが騒ぎ出す前に間髪入れず言った。
「お前は将来、親父みたいな魔王になるんだろ?」
ここ数週間で、ある程度こいつの扱いにも慣れた。
んで、泣いた時にこれを言うとだ。
「うっ……ひっく…………うん。」
世間ではこういうのをいじらしいとか抜かすんだろうが、とにかくコイツは泣きやむことに全力を尽くすのだ。
「なら、ちっとこけたくらいで泣くな。わかったか?」
「わ、わかった!」
それを聞き峠は越えたなと判断したので、あとはどうにでもなれと再び歩き出す。
「……ったく。」
後ろの小さな足音を聞きつつ、こんな状況に慣れてしまった自分に辟易する。
だがそんな思考すらも慣れてしまった自分に気づき、オレはもやもやしながら家の扉を開けた。
もはやここもオレの安住の地とは言えないが、無いよりはまあマシだ。
「おい、さっさと入って手ぇ洗ったら……。」
だが、振り返った先にガキの姿はない。
「ッチ、ガキが。」
目を離すとすぐこれだ、とか思い、足を進めようとしたその時。
「ルシフェルー、ねえコレ、コレ見てよ!」
「お前、どこうろついて……!…………?」
ぱっと姿を現したガキを叱ろうと思ったのだが、その腕の中のモノを見て固まった。
「……なんだそれ。」
「なぁなぁ、こいつ飼っていい?」
「にゃー。」
オレの安住の地は、一体いずこに消えたのか。
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