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「……訳、分かんないよ、希咲」 そう言った自分の顔が、笑っていた。 あの頃の俺を、希咲は見ていたんだ。 夜中に膝を抱えて泣いている、弱虫な子供。 今も何も変わらない。 それでも、好きだと言ってくれるのか? お前の気持ちを知ってて、自分から煽っておいて、逃げたのに。 それでもお前は逃げないんだ。 胸の奥が苦しくなった。 妹としてなのか、そうじゃないのか、良く分からないけど。 初めて、希咲を愛しいと思った。 希咲の手をそっと布団の中に戻して、もう一度頭を撫でた。 「……ありがとうな」 そう小さく言って、立ち上がった。 来た時と同じようにそっと部屋を出て、扉を閉じた。
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