62人が本棚に入れています
本棚に追加
「何であたし此処に連れてこられたの……?」
相変わらず、桜庭さんの質問はド直球だ。
「いつも桜庭さんは一人だからさ、みんなと居た方が楽しいよって思って……」
「約一名、日常会話が難しいくらい緊張してるみたいだけど……」
ハヤトの事だ。
「オレがか?」
お?
意外と冷静に戻ってるじゃ……
「そんな事ないでござるよ」
ダメだった!
「ってゆか、名前は?
聖の友達?」
「あんな事をしておいて記憶の外ッ!?」
……どんな事をされたんだ……
でも、ハヤトの怯え具合からして、かなりのダメージがあった行動に違いないだろうけど……
「……あんなコト?」
覚えてすらいない感じの桜庭さん。
「し…信じれない事が起こったんだ……
あんな事をやっておいて『知らない』の一言で片付けるヤツがいたんだ……!」
ハヤトは早々に自分の殻に引き篭もってブツブツと言い出した。
「ナニ、結構うざいんだけど……」
「う゛っ」
更に追い討ちの言葉を贈る桜庭さん。
「ま……まぁ、ほら、ハヤトも一生懸命生きてるんだから……
あんまヒドい事言っちゃダメだよ」
我ながらよく分からないフォローだ。
「流石おがっち!
心の友と書いて心友だぜっ」
立ち直った……
思考回路がかなり単純化されてるんだろうか……
「見たか聞いたか暴れ桜!
俺とおがっちの友情はお前が割り込んでも変わる事がないんだぜっ!」
ハヤトが気持ち悪い事を真顔で桜庭さんに言う。
「おめでと
で、あんた誰?」
「スルーかよっ!」
やっぱり桜庭さんは意にも介していない。
「……誰って聞いてるんだけど?」
出た。
ドスの利いた質問……
「い……池上颯斗と申します……」
威圧だけで人を黙らせるのが桜庭さんの特技なのかな……
大きな身体が見る影もなく縮んで見える。
最初のコメントを投稿しよう!