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赤みがかかった空。
その赤き海の中をふわりふわりと漂う雲。
赤とんぼが飛び、カラスは泣いて、子ども達は帰らなくちゃいかない時間だ。
太陽は地平線へと傾き、空は徐々に闇に喰われていく。
そんな時間帯も、僕は家にいた。
今日はずっと家にいた。
いや、今日どころではない、昨日も一昨日も一年前だってずっと部屋に閉じこもっていた。
朝から晩までずっと箱でネット。
それが僕の日常だ。
いつからこうだったのであろうか?
二年前には確かにこうだったのを覚えている。
人と関わるのが嫌だった。
苛められた。
虐待された。
生きるのに疲れた。
人間、引きこもろうと思ったならば幾らでも理由なんてつけれるものである。
つまり、僕が引きこもりのニートだとしても僕にだって引きこもる権利があるってことだ。
親に迷惑もなにも感じないし、ご飯だって怒鳴ればでてくる。
最高の環境の中だ。
やめようだなんてこと、思うはずもない。
それに、家族といったって愛想笑いが取り柄だけの母に、仕事にしか興味のない父が一人。
そして、可愛い妹が一人。
こんな最悪な家族環境の中、僕がグレたり、自殺しなかっただけでも奇跡みたいなものだ。
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