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思い出したくない苦い思い出――――
専務も誰でも良かったのよ…
好きだ、なんて本気じゃない…
なのにあんな少年みたいな笑顔で言うなんてズルイ…
もうそういうのはいい――――
考えたくない――――…
ポーン
商品企画部のフロアに到着を告げる音に我に返りエレベーターを降りるとやけに視線を感じる。
も、もしや―――――!
スッピンだから…?
朝からわざわざ専務に自宅まで送って貰う訳には行かず(朝なら大家さんが居るので鍵を開けて貰える)、専務宅から直接会社まで乗せてもらって今スッピンな訳で…
普段からそんなにバッチリメイクしてないし(技術力がないだけ)、年齢的にまだまだイケると思ったんだけど…
やっぱり会社でスッピンなのはマズいか…
極力顔を見られない様に俯き加減で歩く速度を速めた時だった…
「どはっっ」
下を向いていた私は何かに思いっ切りぶつかり朝には不似合いな擬声を発してしまった。
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