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10分くらい、強い雨に打たれて着いた先は小さなアパート。 「ここ、汚いけど上がって」 階段を上がって1番奥の部屋、205号室。 ここが涼介の部屋なんだ。 「お邪魔します」 「誰も居ないよ。 ほら、タオル…」 渡されたタオルから微かに山田の香りがした。 この香り、好きだな。 「シャワー浴びてこいよ ジャージ出しとくから、な」 「わっ、ちょっと」 半ば強制的に風呂場に連れてこられた。 雨に濡れたせいで体にピタッと張り付いたシャツが気持ち悪い。 「僕が、先に浴びていいのかな」 涼介だって寒いはずなのに。 こんなことを考えてる暇があるなら、さっさと上がって涼介に変わろう。 風邪を引かれたら、僕が悪いみたいじゃんか。
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