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「っ、うぅ…」 涙が流れてもその涙を 拭く余裕なんてなかった。 涼介と、ずっと一緒なんて ありえないんだもん。 またすぐに涼介には新しい 彼女さんができて僕のこと なんか忘れちゃうんだ。 「あー、山田の彼女だ!」 「え?あっ、有岡くん?」 「泣いてんじゃん どうしたの?」 「いや、その…っ」 「山田と喧嘩でもした?」 「まあ、うん…」 「そっかそっかっ!」 そう言って優しく笑った 後に僕の頭を撫でてくれた。 「山田、君のために必死 なんだよ、スッゴく」 「…、へ?」 「禁煙だってしてるし あー、なんだっけな? なんかプレゼント買う とか言ってバイトだって 頑張ってるんたぜ!」 「そ、なんだ…」 「あ、言ったらダメ だったかな!? あはは、まあそれくらい 本気なんだよっ!」 「本気、なわけないじゃん」 「へ?」 「だって、お金貰うためでしょ」 「あ、知ってたんだ その賭けのこと…」 「だから嘘なんでしょ」 「信じられないだろうけど 山田は嘘はつかないよ」 「そんなの…っ、」 信じられるわけないじゃん。 「ま、頑張ってよ!」 そう言って太陽みたいに 眩しく笑って有岡くんは 学校に向かった行った。 有岡くんの言葉に余計に 涙が溢れ出した。 「バイトなんか、してたんだ」 結局僕は涼介のことを 何も知らないまま付き合って そのまま別れたんだ。
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