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「ごめんな…」 「意味、わかんないよっ」 なんで、どうして… 「俺のとこに居てよ」 「無、理だよっ」 そんなこと、 できるわけない。 涼介を利用するような ことできないよ。 「俺がいいって 言ってるんだ…」 「でも、やっぱり・・っ」 「べつに好きじゃ なくていいからっ! 傍に居てほしいんだ」 そう呟く涼介にわかるか わからないかくらいの動き で頷いた。 「…、ありがとう」 ありがとうと言わなきゃ いけないのは僕のほう なのに、涙で言葉が 出てこない。 「俺は、泣かせない」 「う、ん・・っ」 理由なんてなにも 話してないのに涼介は 僕が家出をしたと わかってるみたいだ。 「いつまでも玄関なんかで 泣いてんなよ、ほらこっち」 座っている僕を立たせて リビングに行く。 悲しかった・・・、すごく お母さん、僕は一体 なんのために産まれて きたんだろうね。
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