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「裕翔っ、帰ろうっ!」 チャイムと同時に教室に入ってきた涼介。 僕の席まで走ってきて、僕の荷物を持った。 「ほらっ、早く行くぞ」 「わ、待って! 知念、ばいばいっ」 知念の方を見ると心配そうに僕を見ていた。 「裕翔ってさ、門限とかあんの?」 「あー、ないよ。」 「ふーん、じゃあいいや 裕翔、早く後ろ乗れよ」 「へ?乗るの?」 うん、と頷いた涼介は自転車に自分の荷物と僕の荷物を入れて跨がった。 二人乗りなんて、と思ったけど素直に乗りたかった僕は涼介の言う通りにした。 「…行くぞ」 「ん、」 どうしたらいいんだろう。 涼介の背中が目の前にある。 抱き着きたい。 涼介に触れたい、もっと。
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