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「ラッキー!今日、先生研修会で
クラブ早く終わるってよ」
ハイテンションの林がいきなり背中に抱きついてきた。
「あっそ
ちょっと気持ち悪いから離れてくれる?」
「なんだよぉアキヤ
俺とお前の仲じゃないかぁ」
ベタベタと纏わりつく林を強引に剥がすとサッカーシューズの靴ひもをキュッと結んだ。
キャプテンの集合の合図にサッカー部員が集まる。
「今日は顧問がいないから軽めの練習で終わりにする。
新入生も同じメニューでやるからしっかりついてこい。
じゃあまずランニングから。」
ザッザッザッザッと砂を蹴る足音に紛れて
隣を走る林が話し掛けてきた。
「なぁ帰りどっか寄らないか?
早く帰れるなんてめったにないしさ。」
「おぅいいけど・・・」
言いかけて止めた。
「やっぱ帰るわ。」
「えーっなんだよそれ」
林が一際大きな声を出したときキャプテンの撃がとんだ。
「おい二年うるさいぞ。
お前ら上級生になったんだからしっかりやれ。」
「はーい。」
ランニングの列の中ほどで肩を並べて走る林にチラリと目をやると、ペロっと舌を出し照れたような顔をしていた。
ザッザッザッザッ
砂をスパイスが噛む音が響いていた。
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