ゆきやなぎ

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晋太郎が心配そうに言うと、藤堂は一度顔をあげ、しかし目線はそらしたまま歯軋りした。 「晋太には関係ないでしょ。」 「関係ないって…お前それ何だよ。」 「そのままの意味だよ。晋太が知る必要はないでしょ。」 「は?!お前、俺のこと散々…」 「はぁい、晋ちゃん黙って~。」 「ぐッ!」 「藤堂さん、包帯巻きますけど、これ臭いのでごめんなさい。あと、これ飲んでください。」 ひいがなんてことないそぶりで晋太郎の鳩尾に肘を入れた。 見た目の衝撃よりも遥かに威力があったらしい、晋太郎は身体を二つに折って俯いた。 藤堂はひいが差し出した薬を嫌そうに飲み干すと、むっと唇をとがらせた。 「じゃああとは安静に寝ててくださぁい。……晋ちゃん、お茶入れてきて~。」 ひいは藤堂と永倉を見送ると、くるりと振り向いて未だノックアウト状態の晋太郎ににこやかに言った。 「お…茶だと…?てめえ……」 「喉渇いたよう。」 「知るか…!大体なぁ、何だよ藤堂のやつ……。」 ムカムカと短気がはらわたで暴れだすのを晋太郎は鳩尾をさすりながら文句にしたためる。 黙って聞いていた(のかどうかはわからないが少なくとも話は遮らなかった)ひいがふぅと息をもらす。 「何だよ。」 「ここで文句言ってないで、原田さんとかに話聞きに行けばいいのに~。」
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