ゆきやなぎ

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外交って。 勉強熱心なのはわかる。 「それにしても晋太、威圧的態度ってものを覚えたんだね。えらいよ。」 「あ?いつの何の話ですか。」 「さっき。急に立ち上がったじゃん。あのタイミングであの視線変更は効果的だ。晋太は身長があるし顔も怖いし、今まで見上げていた格好からとどめの文句に同調して見下ろすのは結構な威圧感だよ。」 「全然そんなこと考えてねぇんだけど。」 「じゃあ今度から考えな。おひいさんの扱いもラクに……ならないか。あの子はあのハジメくんの懐にも突進してくからなあ。」 藤堂がわずかに思い出し笑いに口端をゆるめた。 「その度に斎藤さんをなだめるの、鉄之助と俺なんだけど…。」 「ほんと面白いよね。」 「見てるあんたはな。」 暴君が機嫌をなおしたようなので、晋太郎は薪割りの続きに入る。 「晋太は雑用嫌じゃないの?」 割り終わった薪を並べて遊びだした藤堂が大きな猫目をくるりとまわして上目をむいた。 押し付ける本人が何を言う。 「嫌だって言ったらやらせない訳でもないでしょう。」 「そういう達観的な理由?」 「…ひいが言ってたんだが、全ての道はローマに通じるらしいです。」 「ローマ?」 「昔欧国で栄えた大帝国です。世界の中心がローマだとその栄光をたとえた文句です。」 「どんな田舎の粗雑で荒々しい道も、辿れば華やかな都、栄華のど真ん中に行くってわけか。」 藤堂は晋太郎が言わんとしていることを解してふぅんと大きく頷いた。 頭の回転が早いと、唸らせられる。 晋太郎にとっての世界の中心にたどり着くのに道など選ぶ必要がない。 そう言いたかった訳なのだが。
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