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「できたー!」 オーブンから焼き時間終了の音がして、開くといい匂いが室内を満たした。 「おいしそー!」 「流石、羽流!」 出来立て熱々のチョコチップがたくさん入ったクッキー。 調理実習を終えた私たちは、いつも材料を持ち寄って簡単なお菓子を作ってはちょっとしたお茶会気分を味わっている。 担当の先生には作ったものを献上するのと遅くならないことを条件に許可をもらっている。 「ちょっと作り過ぎたかな?」 予定していたよりもかなり量が多くなってしまった。 今オーブンで焼き上がったのが最後。 「いいよ。どうせ食べるんだし」 「これぐらい軽いって」 そう言って、お茶の準備をするのは同じクラスの藍と菜桜(なお)。 一年の時に菜桜と同じクラスになって、菜桜を通じて藍と仲良くなった。 「いただきまーす!」 試食をする瞬間が一番の楽しみ。 「おいしー!」 「サクサク!」 「良かった。パサついてない?」 「全然! めちゃうま!」 喜んでもらい、私も味見しようとしたところに室内に数人の男の声が響いた。 「いい匂いー」 「腹減ってきた」 「羽流」 私の名前を呼んだのは、三つ子のひとり、朱希(あき)だった。
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