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「頼んでない」
「えー、いーじゃん! もう夫婦みたいなもんなんだし」
「それはそうとなんだよそれ!! なんてものを作り出したんだ?」
料理の途中だが、すでにヤバそうなものが出来上がっていた。これは腹痛ではすまなそうだ。
「なによ、その言い方! 一生懸命作ったんだよ。駿ちゃんのお弁当も」
朝だけではなく昼もそれを食べなくてはならないとは……。
「う……吐き気が」
「大丈夫? ほら、これ食べて元気出して! 元気になる魔法をこめたから」
なんだかよく見ないうちに、いきなり黄色い物体を口の中に放り込まれた。柔らかくて、甘くて…………んっ!?
「うまい!!」
「でしょー? 自信作なんだー」
これは……玉子焼きだ。
母さんが作ったやつにそっくりだ。
いつの間に覚えたんだ。すっかり料理なんて諦めていたと思ってたのに。
「実は密かに練習してたんだー! この味に仕上げるのに何年もかかっちゃったけど」
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