プロローグ

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「あなたが、天海くん?」 「…誰?」 「あ、私は鹿野。鹿野 刹那。」 「あぁ。」 彼は一度もこちらを見ずに 答えた。 大事そうに持っているカメラを何かいじっているようだ。 カメラの事は詳しくないからわからないが。 それは高価なものではないと思う。 普通のデジカメだ。 ピッピッという電子音を聞きながら 彼の手の中のカメラを見ると カメラに映し出されたたくさんの写真。 その中にコンクールの写真が写った。 「これ!!」 「え!?何?」 「こないだのコンクールの…。すごく綺麗だった。」 そういうと彼は 長い前髪の奥で嬉しそうに微笑み 『ありがとう。』と言った。 ドクンと大きくなった心臓の音。 心の中にできたひとつの感情。 それは、 そうきっと恋心。
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