写真

4/10

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
「顔、にやけてる。」 「…うぅ。そんな事ない。」 「隠しきれてないよ。 あんなのの何処がいいんだか私にはわからないわ。 刹那は美人なのにもったいないな。」 にこにこと笑ってそういう梨奈。 梨奈には分からないよ、朔のよさは。 と曖昧な笑みで答えた。 何故朔かと聞かれたら正直、返答にはこまってしまう。 かと言って誰でも言いというわけではないのだが。 一緒に居て安心するし 楽しいし。 まぁ今はそれだけで十分だと思ってる。 「告白しないの?刹那なら一発でしょ?」 「そんな簡単なことじゃないよ。」 短くため息を吐くと 梨奈は他人事だから関係ないけどといった。 「刹那が悲しむ顔は見たくないなぁ。」 にっこりと微笑んだ梨奈につられて私も微笑んだ。 梨奈とは小さいころからずっと一緒にいた。 そりゃあもう依存するほど。 今梨奈には彼氏がいるからあんまり遊べないのだが、 それに嫉妬するほどの仲だ。 「あ、梨奈放課後…。」 「悪いけど、彼氏待ってるから。 それに二人きりのがいいんじゃないの。」 にやりと笑う彼女の顔はもう見飽きるほどみてきたものだ。 何かたくらんでいるような笑みをよく見せてくる。 もちろんたくらんでいるのだが。 二人きり、 は嬉しいけれど無駄に緊張してしまうので好きではない。 向こうはなんとも思っていないのだけれど。 もう一度小さくため息を吐いたところで 授業開始のチャイムが鳴った。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加