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「……最悪」
私は……今の自分が、どうしても好きになれなかった。
そんな私がいつだったか出会ったのは主人公が異世界トリップするといった所謂異世界ファンタジーの小説で。
それ以来「トリップしたい」が、口癖になった私。
勿論、変な目で見られる事なんて解りきっている訳で。
人前でそれを公言する訳ではなかったのだけれど周りから見たら、私は変わってる事に代わりはなかった気がする。
そんな、ある日だった。
「何をお望みですか」
そうニッコリと微笑む神様とやらが私の前に現れたのは。
。
「……あ」
どうして、とか。
ありえない、とか。
正直そんなのどうでも良かった。
だって私は。
私自身の願いが叶うなら。
もう何でも良かったんだから。
「僕は貴方の願いを――望みを、叶えにきました。貴方は何を望みますか?」
―――何を願うか?
―――何を望むか?
そんなの。
決まってる。
「……部」
「は?」
「だから」
「―――全部よ」
「……全、部?」
「そう」
私の発言に呆気にとられたような顔の神様に私は言った。
「富も地位も名声も」
私の望みを。
「望み総てを叶えてくれるというのなら私が望む全てを頂戴」
チヤホヤされたい。
最強で居たい。
誰しも一回ぐらいは思った事が、あると思うの。
「それを全部私に頂戴」
強欲だろうが最低だろうが欲しいもんは欲しいのよ。
「私は人生をやり直したい」
ねぇ神様。
勿論、叶えてくれるわよね?
あなたが言ったのよ。
「何をお望みですか」って。
だから私は望んだ。
ねぇ、神様。
「私の望みは全ての高み」
今更、なしになんてさせないわ。
私だって分かってるわよ。
完璧な人間なんて居ないって。
だけど望まずにはいられない。
本気で完璧になりたいとなんて、正直思わない。
だけど私は。
ソレに限りなく近づける人間に、なりたいと。
そう願わずにはいられないんだ。
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