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少年は愛を知らなかった
与えたことも与えられたことも無かった
少年は渇いていた
砂漠の真ん中で佇んでいるかのように
誰かがオアシスを見つけてくれるのを待っているかのように
少年は臆病だった
本当の愛なんて無いと信じていた
信じていようとした
少年は……
いつもと変わらぬ放課後
いつもと変わらぬように人が犠牲になっている。
ジャンケンで負けて選ばれた文化祭委員…
その委員会が終わった後に神谷は一人で自宅へ向かっていた。
「全く…またこんなに遅くなっちゃった……」
そんな言葉を口にしながらも元々リーダー気質の神谷だ、顔は楽しそうだった。
しかし、そんな神谷の顔が曇ったのはその後すぐであった。
「チッ、アイツらもよくやるよなー」
同じクラスメイトの集団がカツアゲをしていたのだ。
毎日のように見る光景、それは神谷から関心を奪う程に日常的であった。
「ん、毎度ながら俺には関係無いなー」
被害者にならなければ良い。
そう、神谷はリーダー気質で人望もある程度厚いのだが、どこか冷めているのだ。
人と一線おいている。
それは周りの皆もわかっていて深入りはしない。
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