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「…か、神谷…先輩。」
男の声は、か細いながらもとても良い声だった。
それに驚いていた神谷だったがすぐに意識を戻した。
「あ、知ってんだ。ごめんね?僕、君の名前知らないんだよね…」
「ぇと、小野です。」
「小野君か、じゃあ小野君さぁーここまでの経緯知ってる?」
ここで小野は固まった。
あんな経験をしたのだから忘れていても仕方がないだろうと神谷がフォローを入れようとした時に小野が言葉を発した。
「俺、先輩達に群がられた所までしか………。神谷先輩も、同じですか?」
「なんだよ同じって。」
「俺の事、使うんですか??欲の為に。」
その言葉に神谷は何故かとても悲しくなった。
この一見地味な小野君はそういう事ばかりに使われてきたのだ、きっと。
普通の友情というものを知らないのだ。
神谷は小野に友情を知らせたいと思った。
そしてそれは今まで全く人に興味が無かった神谷にとっては初めての感情だった。
「小野君、それはナイス☆自意識だよ?」
「へっ??」
「僕は学校からの帰り道に何故か文化祭委員会で見た事がある後輩が倒れてたから頑張ってとりあえずここに連れてきただけだよ?一人で倒れてたから熱中症かと思ったんだけど…群がられた??」
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