-小説3-<雄福>完

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「ゆ、雄二郎さんが笑うなんて珍しい…」 福田は目を少し見開いて思わず呟いた。 「え、よく笑ってるでしょ?」 「あぁー…そだけど……なんか、」 「なんか?」 「よくわかんねぇけどいつもと違ったっつか…」 いつも物事をハッキリと言う福田が珍しく歯切れが悪くほんのりと顔が赤い様子を見て雄二郎は、少し可愛いな…思った。 しかしすぐに我にかえり頭を振ってその考えを消し…… 「そうだ!さっきも言ったけどお土産!」 と鞄から赤い箱をだした。 その中身は…… 「なんでポッキーなんすか?」 「今日は2011年11月11日で1が六つ繋がってるでしょ?だから世間的にポッキーの日、らしいよ?締め切り守ったご褒美だと思って…さ?」 「ご褒美って…嬉しく無ぇし、トンコツのカップラーメンのが嬉しいし…」 「そういうと思ってそっちも買っといたけど、今はこっちね?」 雄二郎はポッキーを一本取り出し、福田の方へ向けた。 「はい。」 「………はい?」 「食べて?」 「あ、は…ぃっ!!? 何すんすか!手、叩かないでくださいよ!!」 「手、使わないでこっから食べてよ。」 「雄二郎さんの手から?何で。」 「なんとなくだけど。」
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