-小説3-<雄福>完

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雄二郎が支離滅裂な事を言うなんて珍しい。 今日は珍しい事続きだ。 ポッキーの日だからか? なんていう完全な非論理的な考えを浮かべながらも福田は雄二郎が持つポッキーを一口食べた。 パキッ 軽快な音と共に少し割れたポッキーは福田の口の中で表面のチョコレートを溶かしていった。 「甘ぇ……」 「そうかな?まあチョコだしね…福田君甘い物嫌いなの?」 「別に。嫌いじゃねぇけど好きでもない。」 そう言いながらも福田はポッキーを少しずつ食べ進めていった。 ポリポリ…ポリポリ…… そんな福田を見て雄二郎はまた 可愛いなぁ… などというこれまた恥ずかしい事を考えていた。 そして… 「雄二郎さん、頭撫でないでください。いきなり意味わかんねぇ…」 「ほらほら、もう少しで終わりだよ?」 雄二郎の手に持たれたポッキーは残り一センチほどにまでになった。 「雄二郎さんの手が邪魔で食えない。」 「じゃあそのまま口に入れたら?」 「『じゃあ』って文章繋がってませんよ?雄二郎さんやっぱ国語苦手?てか馬鹿?」 「うるさいな、とりあえず噛まないでね?」 「本当、今日の雄二郎さん変。」 福田は雄二郎の手を噛まぬようにそっと口に入れた。
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