ー小説4ー<kmon>完

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あーあ、とっさに荷物を持ってきてしまった。 僕、相当小野君の事で上の空だな。 っと……よし、そろそろ… 「此処なら大丈夫だろ、人も来ないし。」 「はい、いきなりすみません。」 「本当いきなり。珍しいね、どうしたの?」 「小野さんの……事なのですが…」 小野君の名前を聞いて僕の肩がビクンとはねた。 それに気付いたのか気付いていないのか。 諏訪は話しを進めた。 「最近、おかしいと思いませんか?」 ―――思うよ。当たり前だろ。 「なんだか悲しそうな顔していますし…かと思えば無理に元気出している感じの時もありますし…」 ―――……え? 「あと寝てないみたいで…隈とか出来てますし…ほら、今日も。」 ―――そんな事無い。 だって僕が小野君を見た時は…… あれ? さっき僕はちゃんと小野君を見ていた? 行動だけじゃなく? 小野君の顔を最後にちゃんと見たのは…… いつだっけ? 「気付きましたか?自分の愚かさに。」 「諏訪さ、何処まで知ってるの?」 「神谷さんのご想像にお任せしますよ。でも…」 「でも、何だよ?」 「多分小野さんはもう限界です。体も……心も。」 「………知ってた…。」 「神谷さん?」
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