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『…かみやさんっ、起きて?いつまで寝てるんですか?遅れちゃいますよ?』
『ほらほら、俺が美味しーい朝ご飯を作りましたから!』
『なっ、パン焼いただけとか言わないで下さいよぅっ!!』
『アハハハハッ』
「小野君……っ」
「か…神谷さんっ、起きましたか?いきなり気絶したらしくて…」
安元君の声を聞きながら僕はあの夢を思い出した。
あの夢は…まだ付き合い始めの頃の小野君だ。
その時はまだ小野君は心から笑っていて……。
今みたいに泣きそうな笑顔じゃなくて……
違う、今は小野君は………
「安元君……っ、小野君は!!?小野君はどうなったの?」
小野君の真っ赤な姿が頭に浮かぶ。
あれが嘘だったら良かったのに、真っ白な病院の天井と安元君の泣きそうな顔が現実だと物語っていた。
「小野は………今、手術中です。神谷さんが意識を失ってたのはほんの30分くらいなので手術が終わるまではきっとまだまだかかりますね。一度帰ったらどうですか?明日仕事なんでしょう?」
「いい。帰らない。何だったら土下座でもなんでもして明日の収録休む。」
「そうですか…」
安元君は淡々としていたが声は始終震えいて、腫れた目からも泣いていた事がわかった。
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