ー小説4ー<kmon>完

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知らない。 小野君が安元君に相談していた事も そんなに前から僕の些細な事で一喜一憂していた事も。 「でも、それから半年くらいして…小野は笑わなくなりました。いや、実際笑ってはいたんですが心から笑わなくなったというか……悲しくて泣きそうな笑い方しかしなくなってしまったんです。俺はずっとどうしたのか聞いてたんですが『なんでもない』の一点張りで悲しい笑顔を貼り付けながら何も教えてくれませんでした。」 それは知っていた。 小野君がだんだん心から笑わなくなった事は。 ただ僕は気付かないフリをしていたんだ。 気付かないフリをしながらも笑わない事にイライラしていた。 僕はなんて理不尽なんだ。 優しい小野君に付け込んでいた。 「今から2ヶ月前、笑わなくなってから4ヶ月くらいして…数少ないオフの日を見計らって小野は料理をし始めました。実家のお母さんや俺に教えてもらいながら、寝る間も惜しんで料理の練習をして……。仕事に差し障りが無い程度に何度か倒れたりもしていました。そりゃあ寝ないで料理して、それ以外の時間にハードな仕事して…なんていう生活を送っていたら倒れるに決まってますよね。
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