ー小説4ー<kmon>完

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怒ってくれれば良かったんだ。 殴ってくれれば良かったんだ。 この期におよんでそんな事を考えてしまう自分を殴り殺したくて仕方がない。 小野君は全てのフリーな時間を僕の為に使ってくれていた。 じゃあ僕は小野君に何をしてあげられていたんだ。 僕は小野君に何もしていない。 酷い事しかしていない。 挙げ句の果てに…… 「今日、突然小野から電話がかかってきたんですよ。『神谷さんに別れを告げられた。俺が神谷さんに迷惑をかけすぎたせいで…』って。意味がわからないでしょう?だって貴方が…神谷さんがそんな事を言う権限があるのですか?散々傷つけてそのまま捨てる?電話を切ってからも俺は許せなくて…その時、歩道の逆側に小野を発見したんです。声をかけようとしたら………車が小野のほうへ突っ込んでいきました。車の先端でさえも大破するような大きな衝突で…っ。さっき警察から来た電話いわく運転手の居眠り運転だそうです。運転手は起きてすぐに車から降りたそうでかすり傷だけで…。俺はそんな運転手は放って小野にかけよりました。そしたら小野はまだ意識があって…動かない筈の手で電話をかけてました、貴方に。内容は知りませんが……。
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