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そうだ、こんなふうに君の心の音に耳をずっと澄まして過ごせば良かったんだ。
想いを隠したままのあの悲しそうな笑顔を、僕の為の努力を
知らないふりなんかせずに耳を澄ましていればこんな罰は受けなかったのに。
小野君を失うなんていう罰は僕には耐えられない。
そうだ、小野君前に言ってたよね?
『神谷さん、一回で良いから名前呼んで下さい』
って、はにかみながら。
あの時は同じ名前が多いから…って言って断ったけど、今だったらいくらでも呼んでやるよ。
だから、目を覚ませよ
「大輔…」
頼むからまた笑ってくれよ
「大輔っ、大輔ぇっ!!」
いつもみたいに変な事言って僕を呆れさせてよ
「大輔ぇっっ!!!」
嫌だ、目を覚ませよ
いつまで寝てるんだよ。
もう良いだろ?
今更気付いたんだよ、君のその名前がとても美しいという事に。
何度だって呼ぶから。
だから……
「だい…すけ…っ」
「………なん、ですか?」
小さな、小さな声で答えが返って来た。
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