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とうとう泣き出してしまった俺に臨也はハッとして体をのけてくれた。
「君さ、なーんか誰かの声に似てると思ったんだけどさ…ねぇ、低い声出してみてよ」
「…っ、」
バレた。
これはもう完全に全部を話すしか無いだろう。
ついさっき耳を舐められた事を考えると気持ち悪くて鳥肌がたつし、涙もまたこぼれ落ちそうだったがそれでも俺は臨也に状況を伝えた。
「~という事…です。」
「ふーん、トリップって奴?そっか…この世界は君の世界ではアニメなんだね」
「…はい。」
「でさぁ。俺はさっきお願いしたよねっ、したよねぇ?低い声で…そぉだなぁ…静ちゃんのセリフ言ってよ」
これは、やるしかない…のか?
「いーざぁーやぁーくーん…みたいなですか?」
「へぇ、確かに静ちゃんだ!君の事を信用するよ」
わざとらしく身振り手振りをしながらそう言ってくる臨也に俺は少しひきつって、涙がやっと止まった目をごしごしとこすった。
「でもなーんで此処に来ちゃったんだろうね?」
「知らない、です。これでもう良いですよね?失礼します。」
「ちょーっと、待ってってば!」
「うぐぇっ」
首根っこをつまれ、またしても変な声が出た俺に臨也は小さく微笑んだ。
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