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必然的に、私は誰かに助けを求めたい気持ちに駆られました。
誰かこの暴走し始めた人を止めて下さい! って。
そんな私に願ってもない救いの手が、ここぞとばかりにタイミング良く伸ばされた。
――PiPiPiPiPi
机の上に置いておいた私の携帯が、軽やかなリズムを刻みだす。
音の長さからいってどうやらそれはメールではなく、電話のようだった。
「か、楓、ほら携帯が鳴ってるから離して! で、出なきゃ」
「え~~~~、このままでもいいじゃん」
「駄目っ! ていうか、普通にこのままじゃあ喋れないでしょ!」
駄々をこねる楓にぴしゃりと言い放ち、ようやく恥ずかしい状況から解放された私は、通話ボタンを押して携帯に出た。
若干息を弾ませながら。
はい。誰のせいかはこの際、敢えて言いません。
「……ぜぇ、ぜぇ……はい、も、もしもし」
《あ、流香~? メール見たんだけどさ》
「沙希! お疲れさま」
凛とした声が私の耳に入る。
電話の相手は、中学から私の親友である小林沙希(こばやし さき)だった。
それを認めた私は、どこからともなく「ちっ」と舌打ちが聞こえてきたのを全力で聞かなかったことにして、労いの言葉を彼女にかけた。
すると、こちらの様子を一切知る由もない沙希がごくごく自然に受け取り、そして返してくれる。
《流香もお疲れ~。ねぇ、添付してあったケーキなんだけど、手作りのわりにはすっごく美味しそうじゃない!? あれ簡単に作れるの?》
「あ、ちょっと待ってて」
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