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選ばれた人間って何だよ。
謎だらけで頭が痛くなって来た。
でもこのままじゃ埒が開かないってことも分かってる。
「眠ると本当に全部思い出すのか?」
「ああ、当然だ。」
このまま訳が分からないまま過ごすのか。
それとも眠って記憶が戻るかもしれない方に懸けるのか。
そう考えると答えは一つに決まった。
「分かった。眠る事にするよ。」
「ただ、お前の事を完全に信用した訳じゃない。」
「だから、お前の名前を教えてもらうぞ。」
「名か?」
「良いだろう。」
「私の名は」
クレモンだ。
クレモン?一瞬だけ、聞いたことのある名前に思えた。
でも、ただの気のせいだろう。
「分かった、今だけだが信用するよ。」
「それだけで充分だ。」
「では、さっそくやるか。」
男は左手の手袋を外すと、俺の額に当ててきた。
一体何をするつもりだ?
「まさかこれで眠らせられるのか?」
「安心しろ。一瞬で終わる」
そう男が言うと、呪文のような言葉を唱え始めた。
本当に男を信用して良いのだろうか?
実は全部夢なんじゃないか?
そんな事を考えている内に意識はどんどん遠退いていった。
「また会おう。」
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