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「どうして?」
囁きと同時に鳳院さんの指が唇に触れ、なぞられる。
「俺とキスするの……嫌?」
「あ……ちが……」
視界には艶のある瞳が迫り、吐息混じりの声が鼓膜を震わす。
唇の上をゆっくりと這う微かな感触に甘い震えが全身を貫く。
「じゃあ……どうして?」
「こ、んな……誰かに見られ……たら……」
話す度に鳳院さんの指の感触をより強く感じて、段々と話せなくなっていく。
「暗くて見えないよ。
それに……」
鳳院さんはそこで言葉を区切ると、私の顎に指をかけて上向かせた。
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