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添えられた手の親指が頬の表面を緩やかに滑る。
その僅かな感触がくすぐったくて、恥ずかしくて。
鳳院さんを見ることが出来ずに目を伏せる。
鳳院さんは一言も話さず、ただ黙って頬を撫でていた。
沈黙が車内を包む。
重い沈黙ではない。
だけど、心臓を鷲掴みにされ少しずつ力を込められているように息が出来なくなっていく。
甘い息苦しさが私の胸を大きく掻き乱していく。
不意に鳳院さんの顔が近付いてきて、胸がきつく収縮した。
「だ、駄目!」
突然叫んだ私に鳳院さんは驚いたが、丸くした目をゆったりと細めて尋ねてくる。
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