9/17
855人が本棚に入れています
本棚に追加
/229ページ
カフェからの帰り道、若菜は唐突に切り出した。 「琴音。 気をつけないと見えるよ」 「は?」 突然の脈絡のない言葉に首を傾げる。 「だから、そんな風にしたら見えるってば。 まあ……わざとだって言うんなら別にいいんだけど」 「だから、何の話?」 一向に要領を得ない若菜の話に、再度大きく首を傾げる。 そんな私の様子を見て、若菜は半ば呆れ顔で自分の首をトントンと指で叩き、あっさりと言い放つ。 「キスマーク。でしょ? それ」 キ、キス……っ!? その単語が引き金となったのだろうか。 途端に首筋が熱く疼きだす。
/229ページ

最初のコメントを投稿しよう!