854人が本棚に入れています
本棚に追加
/229ページ
暫くして、背中にきつく回されていた腕が強固な縛めを緩めた。
そしてゆっくりと離れていく。
だけど、一度遠ざかった筈の腕は再度私へと伸ばされた。
鳳院さんは私の髪を優しく梳き、今はもう冷たい焔が消え去った瞳を軽く細めた。
「明日は、髪……あげてきてね」
突然告げられた脈絡のない言葉に、頭の中では疑問符が飛び交う。
……何で?
「見たいんだ」
何故そんなことを突然言い出したのか。
腑に落ちない点は多々あったが、断る理由もないので、釈然としないままも小さく頷く。
すると、ふわりと柔らかい笑みを浮かべ私の頬を撫でた。
最初のコメントを投稿しよう!