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人間は、幾つものタイプが居るとボクは思うの。
力を振るって己の道を突き進む人。誰かに守られて、尽くす人。
世界を見ずに、自分の世界へ潜り込む人。
そして――――
「――あ、あ、あぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ!」
その男性は、ボクを見ながら走り去っていく。ボクの小さい胸の真ん中には一本のナイフ。
そして、ボクの真上には目がギンギンな人が立っている。男さえも、女さえも分からない。
しかしながら、ボクの胸にあるナイフを引き抜こうとはしないみたいだ。なんか、それはそれで怖いんだけどね。
ボクは、逃げていく男性に手を向けようとしている。
「待って、行かないで」と言いたかったけれども、ボクの口からは血で吐き出るばかりだった。
――ボク、宮野百合亜(ミヤノユリア)はデートに誘ってくれた男性に見捨てられるように血の海の真ん中に倒れている。
そして、その光景をみてボクを刺した人物は笑いながら離れる。
「ク、クククク……駄目人間っていうのは、何処にでも居るのね……」
それはボクも同感したいけれど、刺したのはアナタじゃないですか……。
ボクの目の前にやってきた影は、女性だった。しかし、その顔は何故か悲しそうな雰囲気を持っていた。
そしてボクの胸にあったナイフを引き抜くと、ハンカチで血を拭いて何処かにしまう。
ゆっくりと歩いて、もう一度ボクを見ると……女性は涙を流しながらその場から消えた。
……え、消えた!?
「え、えぇ……? な、何が……どう、なっ、て……?」
捻り出すかのように言葉を紡いだけれども、ボクの肺はもう血で埋まっているんじゃないだろうか。
そして、少しだけ。ほんの少しだけデートした記憶を思い出そうとして――ボクの意識は、消えた。
真っ赤な血の海に横たわるボクの体を置いて。腕時計の時間は、17時17分を指していた……。
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