1.紅色の満月

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 ボクは高校生になっても、身長は小学生低学年と変わらなかった。それどころか、何処も変化せずに精神だけ育ってきたようなものだと思う。 「まぁ、ルカンの趣味はともかく。私は、可愛いと思いますよ? 百合亜さん」 「あ、ありがとうございます」  好意は受け取っておくのがボク。  しかし、悔しいながら可愛いと言われ慣れているボクには、今更可愛いの言葉で照れたりはしません。ドキドキもしてないのです。うん。だから、リランさんはボクの顔を覗きこまないでぇ。  自分で顔を真っ赤にしてることぐらい判りきってるので、何も言えずにリランさんを少し上目遣いで睨む。  上目遣いの理由ですか? 「っ――!? い、いいえ。本当のことを言ったまでですよ……っ」  ……まぁ、こんな風に武器になるからなんですけどね。ごめんなさい未来のボク。多分、厄介なことが増えると思うんだ。  そんなことを考えていると、ルカンさんが満足気になってボクを見ていた。どうやら、何かを見ているようなんだけど……何処を見てるんだろうか。 「ま、百合亜ちゃんの身体ステータスは将来期待するとして、ここから大事なこと言うよー!」 「おい、ルカンさん。今、私の身体ステータスとか言ったか? 身長か? 身長が低いのが駄目なのか!? いや、身長以外にも見てた気が……はっ! む、胸を見ていたの!?」  ようやくルカンさんの視線に気づいたボクは、いつの間にか少し乱雑な言葉を放つ。そして、ルカンさんを睨みながら体を守るように抱きしめる。  ボクの言葉の後には、少しだけ静かな空間が生まれる。顔を真っ赤にしているボクと、冷や汗を流しているルカンさん。そして、私から見ても怒っているであろう、リランさん。 「いやいや、百合亜ちゃんの発育不足な体を見せられて――」 「ルカン?」  今のボクは神様にだって喧嘩を売れると思うのです!
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