1.紅色の満月

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「さて、では今から百合亜さんに重要な話……簡単に言うと、寿命についてご説明いたします」  リランさんが少し微笑みながらボクに向かって説明を始めた。ルカンさんは……うん、リランさんの足元見れば良いよ。見れるならね?  さて、いくらチートに近い能力を手に入れたからと言っても、ボクの寿命は気になる。不老不死では無いらしいんだけどね……。 「百合亜さんは、今までと変わらずに生活をすることが出来ます。そう、不老不死という能力は入れていないのですよ」 「じゃぁ、ボクは転生した世界で天寿を生きれれば終わり。ってことになるんですね?」  ボクとリランさんが話し合っていると、完全に倒れていたはずのルカンさんが突然起きる。ちょっと吃驚したのは内緒ですよ。  次に、一本の杖を握ったルカンさんはその杖を小さく圧縮するようにして、ボクの体に入れ込むように突き刺す。……突き刺す? 「あ、不老不死じゃないけどさ。ある一定までに死んじゃうと不老不死になるように、呪いかけたから?」 「疑問系で言うな、疑問系で」  ルカンさんは笑っていたけれども……今までの笑みとは違う、何か別の意味を込めた笑みに見えた。リランさんも何かに気づいているのか何も言わない。  とりあえず、能力の説明などが全て終わったらしいので、ボクはアーティアに転生することになった。  場所はさっきまでとは全然違う、色んな魔法陣が描かれた真っ白い部屋だった。一応魔法陣の知識を引き出してみるけど、ここの魔法陣は理解できないね。 「百合亜ちゃん、ここの魔法陣は転生の魔法陣だから理解するのはまだまだレベルが足らないよ? 人間としては最高レベルだけど、神様としてはかなり低いしね」 「百合亜さん、無理に理解しなくても構いませんよ。ルカンが勝手に見えるようにしてるだけなので」  どうやら、本来は魔法陣を見えなくしているらしい。どういうことなんでしょう、まさかボクにこれを理解しろってことなんですか?
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