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彼女は『僕』に背を向けて歩き出し、三歩程進んだ辺りでくるりんと振り向いてこう言った。
「次は、君の番だよ」
両手を後ろ腰に回してはにかみながら『僕』に伝えたその瞬間、彼女が背景となっていた夕陽と重なる。
こんなに時間が経っていたのかと驚くよりも、あまりの綺麗さに言葉を失った。
子供ながらそう思った『僕』だったが、久しぶりに楽しい出来事に心が弾んでいたのですぐに脳の片隅に置いた。
そして子供らしく遊ぶことを優先。
「待てー」
今度は自らが鬼となって彼女を追い掛ける。
体力が回復したのか分からないが疲れを忘れて無我夢中で走る。
『僕』は終始自分が笑顔だったことに気付かなかった。
毎日公園に来ていたが、今日ほど楽しい日々はなかった。
ずっとこんなに楽しいことが起きるなら、退屈なのに寂しさを紛らわす為毎日行っていた公園も楽しさを求めて毎日行きたいと思った。
―――ずっと彼女と遊んでいたいと思っていた。
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