そして僕は決意する……多分

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「ならば俺と詩織も別行動することになるな。正義の奴と花梨は別らしいし……ったく、使えない奴だ。ああ、詩織は俺が連れていくから安心してくれ。優介は我慢しないで休んでいろ」  口を挟む余地すらないまま勝手に話が解決した。折角だしこの場はお言葉に甘えてさせてもらおう。 「悪いけど頼んだよ。またね、詩織」  チラチラと名残惜しそうにこちらを向きながら遠ざかる詩織。そんな詩織を先導する洸。置いていかないよう歩く速さに注意している洸を見て、子連れの母親っぽいと思ってしまった。本人に言うと怒るだろうな。  二人は曲がり角を曲がり僕の視界から消えた。一人になって静けさがより大きくなる。二人の姿が見えなくなった後も曲がり角を眺め続け、やがて正反対へと向きを変えて歩き始めた。  確かここら辺に休憩所か何かあった気がする。朧気な記憶を頼りに適当に進む。今更だけど僕達学生が入れない区域もあるから気を付けないといけない。そういうところには多分注意書があると思うから大丈夫なはず。 「おお、やっと着いた」  そこは単なる自動販売機が置いてあるスペース。しかしそこで休憩することも出来るように椅子は勿論、ソファーまであって設備が良い。意外と心地の良い空間なのだ。
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