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先に腰掛けて待っていることにした。暇だったからその間部屋の内装へ目を向けていた。
「改めて言うがいきなり連れ出して済まない。どうしても一度君と話したかった」
その手にはトレイらしき物を持っていて、それには僕の分も含めて二つのコーヒーと高そうなクッキーが乗せられていた。
全てテーブルに移し変えた後トレイを片付ける為に一旦部屋を離れすぐに戻って来た。
僕の面と向かう形でソファーに座ると僕の目を見て話を切り出す。
「まずは自己紹介といこう。私の名前は坂之上 泰彦(さかのうえ やすひこ)。こう見えて妻子持ちでね。娘が一人、君と同じ年頃なんだが……少々男勝りで困っているところなんだ」
こう見えてって、どう見えたら妻子がいるかいないか判断出来るんだ。それにそんな情報どうでもいい。けど可愛い子なら是非紹介してほし……ごほん。
「そうなんですか?子供がいるようには見えないですよ」
とりあえずお世辞は言っておくことに越したことはない。それでも実際若そうだ。二十代後半にしか見えない若々しい人で、とても僕と同年代の子供がいるとは分からない。
「そう言われると嬉しいよ、ありがとう」
そう言って柔らかい笑顔を向けてくる。
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