そして僕は決意する……多分

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 ちくしょう、この人は他人の心でも読めるのかよ。僕がやりたくないと強調すると、先程の言い方を改めて変えた状態で説得してきた。  それでも簡単に決心が鈍るほど僕の意思は弱くない。断固たる思いで受け付けないようにした。 「坂之上さん、この際だからはっきり言っておきます。僕は四聖剣どころか正義の味方にすらなるつもりはありません」  これには流石の坂之上さんも絶句していた。予想を越える回答に驚いて言葉が出てこない様子。 「ゆ、優介君。それは一体どういうつもりなのかな?」  無理矢理作ったと分かる微笑みをしながら質問を続けてくる。 「……僕は父さんと母さんを亡くしました」  正直言いたくなかったがそうでもしないとこの人は諦めない。だから先に僕が諦めて理由を話す。 「両親は優しくていつも僕は甘えてばかりいました。父さんが正義の味方だったことも嬉しくて、母さんが作る料理は美味しくて……毎日がとても楽しい日々でした」  思い出が僕の心を刺激して目頭が熱くなる。気を緩めるとすぐにでも泣いてしまいそうだ。 「そんな父さんと母さんを世界は奪っていった。僕も、父さんも、母さんも、何も悪いことなんかしていない。僕はこんな理不尽を許さないし許せない」
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