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久し振りにこんなに大声を出した。
久し振りにこんなに喉が痛くなった。
―――久し振りに、あんなに感情を出した。
あれだけ早口で、しかも大声を出した為に疲れ、肩で息をする僕。室内が一気に静けさで増した。そんな空気に耐え兼ねて気を紛らすようにソファーに座り直した。
「…………分かった」
話の先陣を切ったのは坂之上さん。
「君を四聖剣に推奨するのはよそう。しかし私は正義の味方に入れるのは諦めないよ」
「……入りませんよ。……正義の味方に入るぐらいなら……悪の組織に入ります」
嘘をついた。
「それは困る、是非とも遠慮してほしいものだ」
苦笑混じりに笑う坂之上さん。それでもまるで肩の荷が下りたかのような笑顔でもあった。
しかし僕はどちらかというと不機嫌だった。もう最悪といってもいいぐらいに。惜し気もなく自分は不快ですと強調した。隠していないのだから多分坂之上さんも当然分かっているはず。
「あの……もう帰っていいですか?」
「いや、実はまだ頼みたいことがあるんだよ。これは個人的な頼みだから安心していい」
何が安心していいだ。ちっとも安心出来ない。
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