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「優介君は娘と会うのは久しぶりだったね」
え?それはつまり面識があるということ?勿論覚えているわけがない。大体坂之上さんを覚えていないのに娘を覚えていたらおかしいだろ。
「……そうでしたっけ?」
「覚えていないのか?おかしいな、私には娘を会わせた記憶があるのだが……ああ、そういえば違ったな」
一人で納得してもらっても困る。僕にとって意味深な発言をした以上教えてもらわないと気が済まない。
それにしてもよく話しかけてきたな。苛つく発言はしないでほしいといったのに、そんなもの関係ないと云わんばかりに普通にきた。まぁ、まだ戦ってないから約束は果たされていないのと同じだから大丈夫だけど。
「君と娘が会ったのは赤ん坊の頃だったからね、それだと覚えているわけがないか」
当たり前だろ。赤ちゃんなめんな。
「それよりまだ着かないんですか?」
「そんなに娘と会うのが待ち遠しいかね?そう思ってくれているとは嬉しい限りだ」
……この人は度々僕の話を無視して勝手に進めていく。しかも自己解決しているときた。僕だからなのか他の人でもそうなのか、もしかしたら娘の話だからという親バカという線もあり得る。むしろ最後の可能性が一番高い。
初めて会った時……いや、初めてではないのか。とにかくここ(本部)で会った時に見せた柔和な顔付きとは違った笑みを見せてきている。なんかこう、顔の筋肉がかなーり緩みきっている感じ。
「もう少しで着くから大丈夫。ほら、あそこに部屋の入り口が見えるだろう?」
ああ、あれね。ようやく着いたか。
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