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「予定ではもうそろそろのはずだが……この際だ。早く終わらせるとしよう」
すると坂之上さんは観戦部屋にあるいくつかの装置の内一つの所へ行き、慣れた手つきで機械を操作する。そして備え付けてあった小型のマイクを取り出して娘を止めるよう示唆し始めた。
始めにゴーレムが一斉に動きを止める。中には光剣を振りかぶっている最中の個体までいたが振り切ることなく丁度静止していた。動きが完全に止まったことを確認した坂之上さんの娘は、脱力して一息つくように座り込んだ。
「さぁ、私達も下りようか」
訓練部屋の壁の一部が開く。坂之上さんが操作をした形跡が見当たらなかったが、ゴーレム達が自動的に開いた壁へ向かっていった。恐らく訓練が終えると自分で戻るよう最初からプログラムとして組み込まれていたんだろうな。
「今日も素晴らしかったよ、優衣」
坂之上さんと同時に十番の部屋へ向かい、部屋に入ってすぐに坂之上さんは娘を褒める。それと同時に娘の名前が分かった。
「お父様!!見てくださいました?」
背景に星が散らばっているのかと錯覚してしまいそうな眩しい笑顔。ああー、その笑顔で不純な僕が浄化されていく……
「遠い目で私(わたくし)を見ているこの人は誰ですの?」
「ほら、昔からよく話していたあの優介君だよ。中々会える機会が無かったんだがようやく予定が合ってね」
そうだね。学校を使えば無理矢理にでも会えるさ。
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