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「ええと、何?」
第一印象は何も悪くないはずだ。不手際もない。だったらいつまで優衣は僕のことを見ているのだろうか。
「あなたが……私の許嫁ですの?」
なんてこったい。
「坂之上さん、それは僕も初耳です」
「「はい?」」
「お互いに反応するお約束はいらない。一応僕にも非はあるけどさ。優衣のことは名前で言う。呼び捨てなのは気にしないでくれ。だから坂之上さんと僕が言ったらあなたのことを差します」
そういって坂之上さん(親)へと顔を向ける。親子がいるのに苗字で呼ぶのは失敗だったな。さて、話を戻すとしようかな。
「というわけで坂之上さん、許嫁ってどういうことですか?」
「あれ?この話も知らなかったのか?おかしいな……あ。そういえば許嫁のことも赤ん坊の時の話だった気が……」
だったら知っているわけないだろ!!僕はそっちと違ってその話を教えてくれる親がいないんだぞ。
「お父様、私は結婚する人は自分で決めます。いくらお父様でも生涯の伴侶を勝手に選ばれるのは嬉しくありませんわ」
「しかしだね、優衣。彼は、君が結婚相手に求める最低基準を満たしているんだよ。それに私の親友の子だ。どこの馬の骨とも知らない野郎に娘をやるより百倍良い」
『どこの馬の骨』辺りの台詞から力が篭っていた。正直に言おう、恐怖を感じたと。
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