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でも衝撃自体は完璧に与えた。細剣でいなされたわけでもなく、後ろに跳んで衝撃を和らげた感じもなかった。確かな手応えを感じて思わず拳を握りしめた。
蹴った反動を活かして宙に浮いたまま後ろ回転。飛ばされていった優衣を見ながらゆっくりと着地。すぐに剣を持ち替えると、追撃する為に駆け出した。
二秒足らずで優衣の“後ろ”へ辿り着いた。その時優衣は、まだ地面に足が着いていないまま飛ばされている。
そしてまだ衝撃が無くなりきっていない所為で、僕の存在に気付きながらも対応に遅れている様子。
さぁ、そんな状態でこれをどう切り抜ける?
薙ぎによる斬撃を、優衣がかろうじて反応出来る場所で行った。不器用ながらもなんとか細剣を使って防いだが、代償として更なる体勢の不安定化が起こった。
防がせることが僕の狙いだと気付いた優衣の顔には焦りが見られる。その状態から次の攻撃を防ぐことは難しいはず。手加減はするけど、きちんと喰らってくれ。
両手で柄を握りしめ、振るう力を調整する。
純粋なる敵として戦ったならここで手加減はしないけど、今の僕の立場は単なる学生。しかも正義の味方に入る為の学校にいる僕は形式上優衣と仲間。
必要以上の怪我を与えて不審に思われても困る。何が原因で僕が悪の組織に入っているとバレるか分からないから怖いな。
まぁ、あまり女の子を痛めつけたくないというのも一理……七割ぐらいある。
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